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転倒は防げるか?

交通事故より多い「転倒・転落」


厚生労働省の人口動態統計で日本人の死因をみると、「不慮の事故」による死亡者数は、年々増加しています。中でも、高齢者の死亡者の割合は、年を重ねるごとに高くなっています。

さらに、以下の表を見ると、次のようなことがわかります。

  •  「不慮の事故」では、「誤嚥等の不慮の窒息」が最も多く、次に「転倒・転落」、「不慮の溺死 及び溺水」と続く。
  • これらの原因による死亡は「交通事故」より多い

「誤嚥」「転倒・転落」「溺死(入浴時など)」は、介護施設でもありえることです。現に、毎年のように、これらの理由によって介護施設内で亡くなる方はいらっしゃいます。非常に残念なことです。

しかし(残念ではありますが)たとえ介護施設で介護スタッフが見守っていたとしても、こうした事故を100%防ぐことはできません。株式会社安全な介護の山田 滋 氏の実験によれば、以下のケースでは、仮に近くに介護スタッフがいたとしても、転倒は100%防げなかったそうです。

 

【ケース1】歩行介助中に利用者が突然バランスを崩し “膝折れ”によって転倒する 

【ケース2】介護スタッフが 1.5m以上離れて見守りしている状態で、認知症の利用者が車椅子から突然立ち上がって転倒する

 

このようなことを防ぐには、極端な話ですが、車椅子に拘束するしか方法がないかもしれません。しかしそれは、利用者もスタッフも望んでいないことです。ですから誤嚥、転倒、転落、溺死がないように、できる限りの予防策を検討することは言うまでもありませんが「転倒は100%防げない」という認識を持って対応策を考えておくことは不可欠です。