利用者は、こわがっているかもしれない
送迎中、自家用車を運転するときのように、ブンブンと飛ばすドライバーがいます。これはいけません。なぜなら、要介護のお年寄りの多くは、筋力が低下しているからです。座位がしっかりと保てない方が同乗中に、乱暴な運転をしたら、具合が悪くなったり、車内で事故が起こる可能性もあります。何よりこわいですよね。
それに、施設名の看板を背負って運転をしていると、乱暴な運転でなく、道を譲らなかっただけでも、施設にクレームの電話が入ったりします。送迎車を運転する際には、プライベートで運転するとき以上に、気をつけなければいけません。
でも送迎業務って難しい!
しかし、送迎中はこんなことが頭の中をぐるぐるとよぎります。
「送迎の予定時間に間に合うだろうか」
「初めて行くお宅は、どこだっただろうか」
「迎えに行く順番は、これで良かっただろうか」
こんなことを考えながら、後ろに乗るお年寄りのことも配慮しなくてはいけません。そんなときに、当日のキャンセルの電話がなったりします。もうこれだけでパニックです。にもかかわらず、車の中がシーンとしていてはいけませんから、会話をしながらということになります。3つくらいのことを、脳の中で処理しなくてはならないのです。
まずは道をしっかり頭に入れる!
送迎でパニックになったり、そのせいで乱暴な運転にならないように、まずは以下の点をおさえておきましょう。
- 余裕をもった送迎ルートを組む(難しいですが)
- 前もって(直前ではなく)送迎ルートを確認しておく
- 運転前に、ルートをイメージする
- 1度も行ったことがないお宅は、事前に行ってみる
- 駐車場所を確認しておく
- できれば添乗スタッフと同行して向かう
そして、もし慣れない道を走行しなくてはいけないときは、先輩スタッフに注意するポイントや、利用者のお宅、施設のそれぞれの時間がだいたいどれくらいかを確認しておきましょう。
送迎のポイント
これらをした上で、以下の3つを意識しましょう。
- 譲り合いの気持ちを持つ
- 交通状況に応じた運転を心がける
- 感謝の気持ちを示す
送迎運転の基本は「譲りあい」の気持ちをもつことです。そのためには「自分が先だ」という優先意識を抑えることが重要になります。
いくら自分が優先だからといって、合流しようとしている車や進路変更しようとしている車を無視した運転行動をとると、相手の強引な割り込みなどを招き、思わぬ事故につながることもあります。周囲のドライバーが、あなたにどのような運転を望んでいるかを読み取
り、お互いに気持ちよく通行できるよう配慮した運転を心がけましょう。
また、運行中の状況によっては、運転方法を変えなくてはなりません。例えば、以下のようなケースです。
- 道路の混雑状況によって運転方法を変える
- 前方を初心運転者標識や高齢運転者標識などを表示した自動車が走行しているときは車間距離を十分にとる
- 学校や病院、介護施設がある道路では速度を落とす
- スクールゾーンやゾーン30はできるだけ走行を避ける
さらに、 運転中には、相手に譲る場合だけでなく、あなたが譲られることもあります。そのようなときは、相手に対して会釈をしたり手をあげるなどの身振りで感謝の気持ちを示しましょう。そうすることで、お互いに気持ちのよい運転を続けることができます。